あなたは、お断りするのが得意ですか。五十代、六十代でお見合いや出会いの場に戻られた方の多くが、「断り方がわからない」と口を揃えられます。
若い頃は、返信しない、という選択肢が普通でした。しかし、五十代以降の関係では、既読無視や沈黙は、お相手にとって不必要な痛みを残します。ご自身の品位のためにも、丁寧に扉を閉じる技術が要るのです。
断りの三原則
- 短く。長い説明は、かえって相手を傷つけます。三行で十分です。
- 感謝を添える。相手の時間と勇気に対する敬意は、必ず最初に置いてください。
- 理由を細かく述べない。「価値観の違い」程度で十分です。詳細に述べるほど、相手は反論したくなります。
最初のメッセージ段階での、断り方
マッチングでいただいたメッセージに、興味が持てないと感じられた場合。返信せずに流してしまう方も多いのですが、五十代のマナーとしては、一度だけ短くお返事される方が、ご自身の心も軽くなります。
「ご丁寧なメッセージをありがとうございます。少し考えましたが、今回はお返事を控えさせていただきます。○○様にふさわしい方と、良いご縁がありますように」。
この三行で、十分です。相手の外見や条件についてのコメントは、一切不要です。
一度お会いした後の、断り方
初対面でお会いした結果、もう次はないな、と感じられた場合。これが一番難しい場面です。相手はおそらく期待していらっしゃる。ここで中途半端に返信を続けられると、お互いの時間を失います。
お会いした翌日か翌々日までに、こう送られてください。
「昨日は、○○でお食事をご一緒していただき、ありがとうございました。少し考えましたが、私の方でこの先お会いしていくイメージを持てずにおります。突然の判断で恐縮ですが、ここで区切らせていただければと存じます。○○様のこれからのご幸運を、心から願っております」。
この文面の要点は、「私の方で」という一人称です。相手に原因があるような表現を避けます。
数ヶ月交際した後の、断り方
数ヶ月、ときに半年以上おつきあいされたあとのお別れは、メッセージではなく、必ず対面かお電話で伝えてください。これは五十代以降のマナーです。
伝える場所は、お相手のご自宅でもご自分のご自宅でもなく、静かなカフェなどの中立の場所がよいです。話は十五分以内で済むように準備されてください。長く話せば話すほど、お互いが疲弊します。
「こうしてお会いできたこの数ヶ月を、ありがたく思っています。ただ、この先を一緒に歩いていくイメージを、私の方で描けずにいます。勝手な申し出で、本当に申し訳ないのですが、ここで区切らせてください」。
相手が質問を重ねてこられたら、「これ以上は、私もうまく説明ができません」と、静かに繰り返してください。詳細な理由付けは、必ず議論に変わります。
やってはいけない、五つの断り方
- 沈黙で済ませる。五十代以降の関係で、既読スルーは最も残酷な別れ方です。
- 「お友達から」と提案する。多くの場合、相手を傷つけるだけで、本当の友情には発展しません。
- 他の方の悪口と一緒に伝える。「ほかに良い方がいて」と説明されると、比較された側は深く傷つきます。
- 共通のご友人を通して伝えてもらう。大人の礼儀として、ご自身でお伝えください。
- 「タイミングが悪い」と理由を作る。この言い方は、相手に「では、タイミングが合えば」という誤解を残します。
断られた側の気持ちも想像する
お断りされる側の痛みは、年齢に関係なく大きいものです。特に五十代以降は、そもそも出会いの数が若い頃より少なく、一つの関係に乗せる期待も大きくなりがちです。
だからこそ、断る側のマナーが重要になります。お相手は、あなたとの時間にご自身の何かを賭けていらっしゃった可能性が高いのです。「ダメ」ではなく「ここまで」を、品位を持って伝える。これが五十代の技術です。
逆に、断られた時の受け止め方
ご自身がお断りされる側になられることも、必ずあります。そのとき、食い下がらないでください。「わかりました。お時間をありがとうございました」と短くお返しされる方が、あなたの品位は保たれます。
「なぜですか」「もう一度だけ」と追いかけることは、相手に恐怖を与えます。五十代のプライドは、追いかけない勇気の中にあります。
最後に、小さな提案
もし今、お返事に迷っているメッセージが一通でもありましたら、今日のうちに三行だけお返事を送ってみてください。それが、あなたにとっても、お相手にとっても、一番優しい道です。
扉を閉じる技術は、次の扉を開けるための、静かな準備でもあります。